正欲
- 千景
- 6月1日
- 読了時間: 1分
朝井リョウの『正欲』を読みました。
おもしろかった、程度の感想に留めておきたい
自信が無くなる一冊でした。
世の中の多くが興奮を示す
一般的・普通の性的嗜好。
そこから“外れた”人たち。
みんな違ってみんな良い多様性。
ありのままの姿でいると
犯罪者として逮捕される人たち。
時代が繋がりの輪を広げようとしているけれど
容認と嫌悪の線引きは、はっきりしています。
彼らの孤独や、行き場のない悲しみと怒りを
私の小さな器で受け止められるはずがなく。
読めば読むほど自分が、
あなたを理解しているよ、
寄り添いたいよ、などと
善人面でのこのこ近づいていく
普通側の人間だと気付かされました。
諸橋大也
「そもそも、お前みたいな人間にわかってもらおうなんて
こっちは端から思っていない。
お前にはお前のことしかわからない。
お願いだからまずそのことをわかれ。」
この言葉が刺さりました。
申し訳なさと同時にすっきりしました。
少なくとも私は
似たような皮肉を心に飼って
無気力に生きながらえています。
普通側ですら
それを自覚して染まりながらも
普通すらこなせない無能さに
甚だ失望したりします。
人間は欲深く、傲慢です。
千景

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